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明日なき若者~一発逆転奇兵隊

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画像出典:フリー百科事典ウィキペディア「奇兵隊」

参考:【歴史秘話ヒストリア】“奇兵隊”デビュー!~幕末 若者たち一発逆転の夢~

今回はNHK-BSプレミアムの「歴史秘話ヒストリア “奇兵隊”デビュー!~幕末 若者たち一発逆転の夢~」を参考に、奇兵隊を取り上げてみます。長州奇兵隊は高杉晋作の発案によって誕生した長州藩諸隊とよばれる常備軍の一つです。この「奇兵」というのは、正規の武士を意味する「正規兵」に対する反対語です。

尊皇攘夷を掲げ外国勢力と敵対する長州藩が兵力の増強を目的に、これまでの武士団に加え、庶民からなる混成部隊を募集しました。ちょうど、貴族中心の騎士団に代わり、身分にとらわれず志願兵を募集して作ったナポレオンの国民軍のようなものです。

実際、奇兵隊に参加したのは農家の次男や三男坊以下の貧しい若者たちでした。彼らは家を継ぐこともできず、結婚もできず、ただ一生農作業に従事するだけの労務者です。そんな若者でも武士のような身分になれる大チャンスが、長州藩が新設した奇兵隊だったのです。 

ナポレオンの国民軍もそうですが、何もしなければ一生みじめな貧乏生活。参加すれば成り上がるチャンスがある。もちろん戦争となれば死ぬ確立も高いでしょう。しかし、人間いずれどこかで死にます。一生貧乏な下層民として死ぬか、一発逆転にかけて死ぬかの違いです。もしも彼らがこれまでと同じ農作業を続けるのなら一発逆転はありません。これは「社畜」と皮肉られる労働者が、これまでどおり与えられた仕事に従事している限り一発逆転のチャンスは生まれないというのと似ています。一発逆転というのは人と違うことをする、今までと違うことをするから生まれるものだからです。

 

日本の若者に未来がないのは、一つに人口構成比上、数が少ないからです。集団の中で若者の比率が高ければ、いろんな試行錯誤やたくさんの失敗があり、その中からイノベーションが生まれます。集団の中で年長の者の比率が高ければ、ダイナミックな動きは起こりません。家庭においても子供の数が少なくなり、次男三男までいる家庭が少なくなりました。子供が少なければ、親は安全志向になり冒険や挑戦をさせなくなります。失敗しないように育てられた子どもは失敗を恐れるようになります。

そのような状況では、日本全体として大きな変革やイノベーションなど期待できるはずもありません。高度成長期ならいろんな冒険をして失敗しても、経済のベースラインが上がっていきますから大きな痛手にはなりませんし、再挑戦の機会もあります。しかし衰退期となれば、下りエスカレーターに乗っているようなものですから失敗が致命的になります。結果として保身安全が優先され、挑戦も冒険も試行錯誤もなくなります。さらに、組織がジリ貧となれば、組織内の年長者は我が身の保身を優先して、若者を使い捨てようとしますから、ますます若者の貧困は進むでしょう。

 

日本が今のようになっているのは政治の責任ですが、それはそもそも、政治に参加していない国民の責任です。ここでいう政治への参加とは、選挙の時に候補者を選ぶということを指すわけではありません。選択枝がないのなら自分が出る。これはという人を担ぎ出して、運動するなり寄付をするなりして当選させる。そういうことを言います。そういう意味で言えば、現代の奇兵隊とは政治団体に参加して政治活動をするなり、寄付をすることが奇兵隊への参加ということになります。逆に「観劇に連れてってくれた」とか「どれだけくれた」とか、政治家から何かもらうことが当たり前のようなところは、何も変わらないでしょう。

 

この奇兵隊は、若者自身にも意義のあることでしたが、社会にとっても重要な意義があります。もし、奇兵隊のような一発逆転の機会がなければ、未来のない若者はどうなるでしょう。先日、北海道大学の学生がイスラム国に参加することを目的に出国しようとして話題になりました。イスラム国には未来に希望を見いだせない世界中の若者が、自分の命の掛け場所を求めて集まっています。イスラム国に限らず、日本国内にも非合法組織や犯罪組織、あるいはカルトはありますし、さまざまなドラッグ、薬物も流入しています。

生きるとは自分の命に意味を与える行為です。真っ当なやり方でそれが叶わないのなら、戦争だろうが犯罪だろうが、意味を与えてくれそうなことに傾倒していくか、自殺のように速やかな死か、薬物のような緩慢な死を望むか、貧困の中で病気になり朽ちていくことでしょう。それだったら、もっと真っ当なことに身を投じて一発逆転を狙うほうがずっと意義があります。日本の初代内閣総理大臣は、百姓の子に生まれ奇兵隊の一支隊を率いた伊藤博文です。

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」でお釈迦様が行ったのはチャンスの提供だけです。どんなチャンスがぶら下がっていても、それを掴むかどうかはその人の行動です。

 

  

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