
菅直人氏が民主党代表になり、首相に就任して2週ほどたちました。その間、ワールドカップの日本戦や相撲界の野球賭博事件などがあって、ニュースにしめる割合は多くないのですが、その中にあって消費税10%の話題は物議を醸しています。菅首相は「最小不幸社会」と「財政再建」を掲げていますが、どうも「増税して貧困者に回す」と言っているように聞こえます。
民主党と国民新党による菅連立内閣が8日、正式に発足した。菅直人首相は就任会見で、経済、財政、社会保障を立て直して「最小不幸社会」を目指す考えを明らかにした。7月の参院選の勝敗ラインについては、6年前に獲得した「50議席」とする考えを表明。これを達成したうえで、9月の民主党代表選で再選を果たせるかどうかが、政権の行方を決める。(2010年6月8日,朝日新聞)
菅直人首相が「消費税率10%」に言及したことに政府・与党内で波紋が広がっている。国民新党の亀井静香代表は18日、参院選後の消費税増税の場合の「連立離脱」も口にしたが、民主党内にも事前の議論はなく、根回しもごく一部の党幹部だけ。首相の「見切り発車」には小沢一郎前幹事長に近い議員の反発だけでなく、閣内にも亀裂を生んだ。(2010年6月18日,毎日新聞)
平成22年度の一般会計予算歳出総額はおよそ92兆円です。その財源となる一般会計の歳入内訳のうち、税収はおよそ37兆円。55兆円足りません。それを国債の発行、つまり借金でまかなおうとしているわけです。月収37万の家庭が借金の返済も含めて92万の支出をするというわけですから、どれだけ無茶かおわかりでしょう。
さて、この税収37兆円のうち消費税による税収は10兆円です。消費税率を5%から10%に引き上げたとして、消費税による税収が倍の20兆円になったとしましょう(実際は消費が冷え込んでそれほど増えないでしょうが)。それでも45兆足りないのです。92兆の予算を立てるなら、消費税による税収を今の6倍、つまり消費税率30%くらいにしないといけません。まぁ、そうすれば破産する家庭も増えて、かえって税収は減るでしょうけど。
一方、歳出の内訳を見ますと、最も多いのは一般歳出の社会保障費で27兆円です。次いで国債費、つまり借金の返済で、およそ21兆円。地方交付税のおよそ17兆と続きます。ちなみに、防衛費は4.7兆、文教及び科学振興費は5.5兆、公共事業費は5.7兆です。菅首相のいう「最小不幸社会」が“弱者”救済を目指すなら、この社会保障費が増大することになります。そのしわ寄せは防衛、文教・科学、公共事業、地方にくるでしょうから、国際競争力はますます低下するでしょう。
一方、「税の還付」は、所得の低い人に減税や給付金の支給をすることで負担を小さくする「給付付き税額控除」を指すとみられる。家計調査などの統計に基づき、生活必需品などにかかる消費税相当額を算出。所得が低く所得税などを免除されている世帯にはお金を給付し、一定額以上の所得税などが課されている世帯には、減税と給付を組み合わせて支援する仕組みだ(2010年6月21日,読売新聞)
かつて、近代日本は国民に辛抱してもらってまでお金を集中させ、国力を増強してきました。「富国強兵」というと今は受けが良くありませんが、つまるところ、富の集中投資と人材育成です。集めたお金をただばらまくのは、これと逆の発想です。「貧国弱兵」とでもいいましょうか。もてる人から搾り取ったお金は、低所得者にばらまかれ、低廉な中国製品に消えてゆくことになるでしょう。一度ばらまかれるようになれば、それは止めるに止められなくなります。人はもてないことより、失うことのほうに抵抗を感じるもので、社会保障費も既得利権化するということです。
しかも、社会保障費として低所得者にばらまかれる国富は、日本国民だけを対象としてものではありません。外国籍者も対象となります。そこに公平感があればまだいいのですが、不公平感がくすぶれば社会不安が増大します。
「外国人が日本の国民年金受給者より多額」 生活保護受給世帯の増加で浮かび上がる問題点
雇用情勢の悪化だけでなく、高齢化が加速している現状からすれば、生活保護の受給者が増えることはやむを得ない。しかし、受給者が増えるに従って、制度の問題点も浮上している。例えば大阪市では、外国人の受給者がはじめて1万人を突破し、そのほとんどが高齢化した在日韓国・朝鮮人の無年金世代であることがわかり、問題となっている。この結果、外国人の無年金者が、日本人の国民年金加入者よりも、多額の受給を受ける状況になっているという。(2010年6月20日,マネージン)
消費税増税に対する反発ははやくも世論調査に表れています。
朝日新聞が19、20の両日実施した全国世論調査(電話)によると、菅内閣の支持率は50%で、1週間前の前回調査(12、13日)の59%から下落した。不支持率は27%(前回23%)。「消費税率10%」に言及した菅直人首相の発言には「評価しない」が50%で、「評価する」の39%を上回った。首相が引き上げに前向きと取れる発言をしたことで、消費増税に反対の人たちの離反を招いているようだ。(2010年6月20日,朝日新聞)
政府に対する支持がなく、景気の回復がない時に増税をすればどうなるか、左翼政権によって社会がどうなるのかは、世界最初の左翼政権をうんだフランス革命とその後の歴史が参考になります。
「不幸の最小化こそ、政治権力を使ってやるべき仕事だ」。菅直人首相は20日、東京都町田市などで行った街頭演説で、就任会見の際に掲げた「最小不幸社会」について力説した。
首相は「人の幸せにはいろいろな形があり、それを決めつけ、押しつけるのは政治のあるべき姿ではない」と強調。その上で、「最小不幸社会」について「決して消極的な意見ではない。戦争を起こさない、貧困をなくすといった不幸の最小化は、最も積極的な政治の方向性だ」と訴え、「縮み志向」「弱者切り捨て」といった野党の批判に反論した。(2010年6月20日,時事ドットコム)
最小不幸社会を目指したつもりが、結局社会全体を不幸にするなんて皮肉なことも起こるかも。最小不幸を目指す不幸宰相ということにも....


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